今回は50代の女性が主人公であり、読むと価値観や人生について考えさせられた小説を4冊紹介します。
50代というと、いろいろな経験をし、これまで積み重ねてきた知恵や技術が発揮しやすい時期であるのと同時に、これまでの人生について振り返りをする時期でもあります。
また、子どもの巣立ちや親の介護など周りの状況が変化する年代でもあるかもしれません。

自分と同い年くらいの人が主人公の本を読みたい

自分の生き方について振り返る時間がほしい
という方には特におすすめです。
本を紹介します。
| 今の気分 | おすすめの本 |
|---|---|
| なかなか踏み切れない思いがある | もう別れてもいいですか:垣谷美雨 ロング・アフタヌーン:葉真中顕 |
| 50代だからこその変化に悩んでいる | 老後の資金がありません:垣谷美雨 |
| 少し毒っ気のある物語が読みたい | もう別れてもいいですか:垣谷美雨 ロング・アフタヌーン:葉真中顕 |
| のんびりした雰囲気に包まれたい | うらはぐさ風土記:中島京子 |
もう別れてもいいですか:垣谷美雨
| なかなか踏み切れない思いがある | |
| 50代だからこその変化に悩んでいる | |
| 少し毒っ気のある物語が読みたい | |
| のんびりした雰囲気に包まれたい |
1冊めに紹介するのが「別れてもいいですか」です。
長年連れ添った夫への嫌悪感が強く、長年の処理できていない感情が募り続ける主人公の心理描写が印象的な物語です。
離婚したいけれど、それを行動に移すには割り切れない思いや現実的なハードルがある…
袋小路にさまよっているような気持ちになります。

未来が見えない…
読んでいると閉塞感を覚え、身動きのとれなさに気持ちがしんどくなりました。
特に、主人公が周りの風潮に逆らえず、自分の気持に正直になれない部分にはもどかしさを感じます。
「結婚しているから自分は上」「子どもがいるから自分のほうが幸せ」
そんな価値観を持っている人もいるという部分に、ちょっと息苦しさを感じました。
でもその価値観は否定してはいけないし、お互いに違う主義を押し付け合うのは違うなって思います。
私は結婚して3年くらい経つのですが、そんな状況の自分が読むには少しヘビーなお話でした。
そして、この作品を読んで、
家族との関わり方
について改めて考えさせられました。
結婚している女性が読むと、主人公に共感できる人もいれば、「自分の夫のほうがマシだ」と思える人もいるかもしれません。
そういった視点から見ると、読んだあとの感想が分かれそうです。

共感できる…!

自分だったらすぐ離婚するのに…
最初と最後では、この主人公の見え方が私の中で変わっていきました。
主人公には主人公なりの人生・考え・価値観・その時代の流れがあり、それに逆らって生きるのは並大抵のものではありません。
最後にはどこか清々しい読後感が残る作品だったように思います。
今の結婚生活に不満を持っている人が読んだら

自分はこのままでいいの?
と思い悩んでしまいそうです。
登場する男性たちには思わず苦笑いしてしまうような場面も多く、

どうしてそんなことをするの?
と思う場面が多くありました。
そんな場面が多かった分、主人公の気持ちに自然と寄り添いながら読んでいました。
私は『現実にはここまで極端な人ばかりではないかもしれない』とも感じましたが、それだけ主人公の苦しさや閉塞感を印象づけるための描き方だったのかな、と考えながら読んでいました
そして、この本を50代の男性が読んだらどう感じるんだろうとも思いました。
「相手に合わせ過ぎて自分の人生を無駄に過ごしていないかな?」と思わせてくれた1冊です。
老後の資金がありません:垣谷美雨
| なかなか踏み切れない思いがある | |
| 50代だからこその変化に悩んでいる | |
| 少し毒っ気のある物語が読みたい | |
| のんびりした雰囲気に包まれたい |
次におすすめする本は先ほど紹介した「もう別れてもいいですか」と同じ作者「柿谷美雨さん」の作品「老後の資金がありません!」です。
子育てがひと段落したと思ったところでかかる、冠婚葬祭の費用。
参加する側ならまだしも、主催する側になると大金が必要になります。
身に降りかかる災難や大きな出費に悩まされ、老後の資金に対する不安が耐えない主人公の様子が印象的な本です。
この本は、改めて
お金の使い方
について考えさせてくれます。
私はもともと節約タイプで、

どうしたらコスパ良く済ませられるか?
を考えることが多いのですが、この作品を読んでタメになる部分が多くありました。
ちょっとした工夫で費用を減らさせるのって、未来の安心に繋がるし、お得な感じがしてちょっと楽しくなります。

ポイントが貯まった♪
そして、お金が貯まらない原因として「見栄っ張り」というのも1つの要因なのではないかと感じました。
それを逆手に取ると、「見栄っ張りな人を対象に商売をしたら儲かりそう」とも思ってしまいます。
お金を使い過ぎないためには、人に流されず、「本当に自分にとって必要なものなのか?」見極める力が必要です。
本当に必要なものだったのにお金にケチになってしまうのは、生きているうえでもったいないし、かといって必要ないものに大金を費やしてしまうのももったいない…
見定める力をつけていきたいです。

本当に必要だと思ったものにはお金をかけたいな
そんな
「自分にとって必要なものかどうか見極める力」が備わっている人は充実した毎日を送れそう
と思いました。
お金を有効に使えた感覚があると満足感が高いですよね。
終盤が近づくにつれて、物語が別の方向に進み出している感覚があり、本題とは別の楽しさもありました。
ハラハラ、ドキドキするシーンもいくつかあります。
パッと見て

この人大変そう…
と思うこともあれば、

あの人、幸せそうで羨ましい
と思うことがありますが、人間の1つの部分を見ただけでは、その人が抱えているものは見えません。
幸せそうに見える人でも、本当はつらい毎日を過ごしているかもしれません。
当たり前のことではありますが、それを心に置いておきながらも、大切な人の些細な変化に気づいて助けてあげられる心の余裕を持ち続けていたいと思わされた1冊です。
ロング・アフタヌーン:葉真中顕
| なかなか踏み切れない思いがある | |
| 50代だからこその変化に悩んでいる | |
| 少し毒っ気のある物語が読みたい | |
| のんびりした雰囲気に包まれたい |
次に紹介するのが、「ロング・アフタヌーン」です。
50代の女性が主人公として登場しますが、一般的に想像する主人公とは違った形として現れます。
夫との関係や、長年積み重ねてきた生活の中で、『このままでいいのだろうか』と自分の人生を見つめ直していく物語です。
最初は物語の流れが読めず、ファンタジーちっくな物語なのかな?と思っていたのですが、その予想をいい意味で裏切られました。

予想外の物語!
長年同じ生活を続けてきた人ほど、刺さる場面があるかもしれません。
読んでいて印象的だったのは、SNSやブログがウィキペディアのような情報のみのサイトと比べて「生の声」と表現されていたところです。
よく考えれば、ネットで表現されている何気ない人々の言葉は「人が考えている生の言葉」です。
私は、個人のブログやSNSの何気ないひとことを見るのが好きなのですが、それは、時間や場所を選ばず「人の生の声」が聞けるからなのかなと思いました。
この本は「50代の女性」が主人公の物語として紹介していますが、いろいろな年代の方が共感できる作品だと感じました。
…あなたは幸せすぎてうんざりしてるんじゃないよ。幸せだって思い込まなきゃいけないことに、うんざりしているんだよ。
―――ロング・アフタヌーン(葉真中顕)
と言われている場面には、本質を見透かされているような怖さがあります。

幸せって思い込まないとやっていけない日もある…だけど実際はどうなの?
考えれば考えるほど、
自分の暗い部分が見えてしまいそうです。
読んでいると少し違和感を覚えるというか、気にならないといえば気にならないけれど、少し引っかかる感じが、物語を読み進めるにつれて徐々に、ほどけていく感覚を持ちました。

なるほど…!
点と点がつながり思わぬ方向に話が進むので最後まで目が離せません。
ところどころにゾクッとするシーンもあり、ダークな面も垣間見えます。
読んでいると創作意欲が刺激され、小説を書いてみたくなりました。
この本は、読書が好きな方には特におすすめしたい本です。
私の人生の午後はいつ訪れるんだろう、もしかしたらもう来ているのかもしれない…そんなことを考えた1冊です。
うらはぐさ風土記:中島京子
| なかなか踏み切れない思いがある | |
| 50代だからこその変化に悩んでいる | |
| 少し毒っ気のある物語が読みたい | |
| のんびりした雰囲気に包まれたい |
最後に紹介するのが「うらはぐさ風土記(ふどき)」です。
東京の武蔵野市が舞台になっている「うらはぐさ」に主人公が移り住む物語で、土地や自分の歴史について思い起こさせてくれます。
昔から変わらない風景や身近な植物についての描写が印象的で、

こういう暮らしをしてみたい
と思いました。
都会の喧騒から離れてゆるく生活したい考えている方には、まさに理想の過ごし方かもしれません。
この本の登場人物は主人公も含めユニークなキャラクターが多く、楽しく読むことができました。
私は「秋葉原さん」が、芯の通った生き方をしている感じがして好きです。
そして、主人公のクリエイティブな感性が、物語の楽しさをさらに引き出しています。
「寝る前にスティルトンチーズを食べると悪夢を見る」
という噂、知っていましたか?
私は知らなかったのですが、有名な話のようです。
作品の中でその噂が話題になるのですが、ちょっと試しに寝る前に食べてみたいと思いました。
作中では、野菜を育てるシーンも出てきて、うらやましくなりました。
私は何度か家庭菜園を試みているのですが失敗してばかりです…
まずは、簡単なシソに再チャレンジしようと思います。
話せるってことは、回復していることなんじゃない?
―――うらはぐさ風土記(中島京子)
これは主人公が言われていた心に残った一言です。
本当に抱えているものは、言葉にするのも苦しいけれど、それを言葉にして手放せるようになった段階は、確かに回復に近づいているサインなのかもしれません。
住んでいる土地の歴史を感慨深く想う主人公の様子を読みながら、自分も住んでいる場所の歴史を知りたいなと思いました。
時代とともに移り変わる景色に切ない感覚を抱いた1冊です。
読書を通して自分を振り返る時間を作ってみませんか
今回は50代の女性が主人公のおすすめ小説を紹介しました。
物語の主人公たちは悩み考え、自分の本当の答えを見つけていきます。
もしかしたら、その主人公たちの答えが世代を問わず、自身の気づきにつながるかもしれません。



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