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太宰治の作品は何がおすすめ?
短編小説が読みたい

太宰治「女生徒」の魅力
太宰治は誰でも一度耳にしたことがあるのではないでしょうか。
しかし、

読んでも小難しそう…おもしろいの?
と思う方も中にはいるかもしれません。
私は太宰治の作品が好きで、これまで多くの小説を読んできました。
太宰治といえば、「人間失格」を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、実はそれ以外にもおもしろい作品がたくさんあります。
「人間失格」と聞くと、重く難しいイメージが強いですが、実は太宰治の作品には繊細でユーモアのあるものも多いんです!
中でも私が特に好きなのが「女生徒」という作品です。
この作品には、10代後半の頃に出会いました。
タイトル:女生徒
著:太宰治
本のあらすじ

思春期女子の日常を描いた小説。
朝起きてから、眠るまでの間の複雑で繊細な心情が事細かに表現されています。
楽しくなってきたかと思うと、急に悲しくなったり…
イライラしたり機嫌がよくなったり…
そんな不安定で純粋な情緒が、読者の気持ちを惹き付けます。
特に女性の方は、共感できる場面が多いかもしれません。
自分の気持ちを代弁してもらっているような心地よさ

この本の魅力は、主人公の少女が頭の中で語る複雑な心理描写です。
・普段から思っているけど言葉にしていないこと
・何となくモヤモヤしているけど言語化できないもの
が見事に表現されています。
その物語を読むことで、複雑な気持ちを代弁してもらっているような気持ちになるのです。
主人公が思春期の少女ということもあって、

大人になってから読んでも、共感できないんじゃ…?
と思う方もいるかもしれません。
ですが、大人になってから読むことで共感できる部分もあるのです。
女生徒は年を重ねるごとに何度か読み直していますが、その都度、共感できる部分が変わっているように思います。
心に残っている部分

女生徒は、1文1文が繊細で、印象的な文章が多くあります。
初めて読んだときは、特定の文章というよりは、物語全体の
・気分がコロコロ変わるところ
・自己批判的な気持ちになるところ
に共感していたように思います。
ですが、大人になってから読み直してみると、1つの文章に含まれている意味合いの重さを感じるようになりました。
1つの文章に意識しながら読んでいるうちに、自然と「印象的な文章」が心に残るようになったと感じます。
全部紹介するのは難しいですが、その中でも最も印象的な文章を紹介します。
これまでの私の自己批判なんて、まるで意味のないものだったと思う。批判をしてみて、厭な、弱いところに気附くと、すぐそれに甘くおぼれて、いたわって、角をためて牛を殺すのはよくない、などと結論するのだから、批判も何もあったものでない。何も考えない方が、むしろ良心的だ。
女生徒(太宰治)
今の私にも共感できる文章で、真理をついているように感じました。
このように、読み直すことで考え方に幅が生まれるところも、この本の魅力です。
物語の楽しみ方:文章を自分と重ね合わせて考える

女生徒は、年齢を重ねるごとに楽しさの幅が広がる物語だと思っています。
この物語には、様々な心理描写がありますが、どれも自分と照らし合わせて考えられるものばかりです。
しかし、
照らし合わせて考える力
は、ある程度の経験値がないと難しいようにも思います。
私が初めて女生徒を読んだときには、いくつか意味の分からない心理描写がありました。
・どうしてそんなことでイライラしているんだろう?
・なんでそんなことするんだろう?
と思っていた部分も、久しぶりに読み返してみたら、不思議なことに共感できてしまいました。

この主人公の気持ちの意味が分からない…
と思っても、年月が経つことで意味が分かるようになるかもしれません。
意味が分かるようになったときに、「今の自分」と重ね合わせることで、物語を新鮮な気持ちで楽しむことができます。
女心を知りたい方にもおすすめ

女生徒は、

恋人の気持ちが分からない

思春期の子どもの気持ちが分からない
という方にもおすすめしたいです。
女生徒を読んでいると

ここまで上手に複雑な心情を表現しているの?
と驚かされることがあります。
人間はとても、繊細で複雑な心を持っています。
中には、その複雑さに本人が気づいていないこともあるかもしれません。
相手の考えていることが分からない…
そんなとき、斬新な方法ではありますが、物語からヒントをもらってみるのもいいのではないでしょうか。
過去を思い返しながらノスタルジーな気持ちに
今回は、「女生徒」の紹介と物語の魅力、楽しみ方について紹介しました。
物語を読んでいる中で、忘れていた過去の自分と出会うことができるかもしれません。
懐かしい気分に浸ってみるのもいいかもしれませんね。
ぜひ読んでみてください!
女生徒は電子版の青空文庫で無料で読むこともできます。
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