苦手な人が職場・学校にいる
友だちに距離を置かれている気がする
相手の顔色を窺って疲れてしまう
人間関係の悩みは生きている限り、切っても切り離せないものです。
・学校
・仕事
・家族
・近所
など、人と関わる機会は多く存在します。
人間関係については特に、
嫌でも関わりを持たないといけない場面
で悩むことが多いのではないかと思います。
生きていくうえで欠かせない人間関係、自分にムリをせず、良好なものにしたいですよね。
本記事は、良好な人間関係を築くうえで大切なことを、心理学の知識を通してまとめたものです。
意識して実践できそうなことを探してみましょう!
【思考法①】コントロールできる部分を自覚する
相手の感情や行動は、
こちらではコントロールすることができない
と自覚すると気持ちが楽になることがあります。
例えば、
職場の人・親の機嫌が悪い
とします。
すると中には
自分が気に障ることをしたのではないか
相手の気分を損ねないように場を和ませなきゃ
と思う方もいるかもしれません。
近くに機嫌が悪い人がいると、訳もなく焦るしこちらも嫌な気持ちになりますよね。
ですが、そこで気を揉んで相手の機嫌をよくしようと頑張ってしまうと、こちら側が落ち着かず疲れてしまいます。
自分が頑張ったところで、いい方向に状況が変わるとも限りません。
このようにして、相手の反応や感情をこちら側でコントロールしようとする状態は自分にとって「良好」といえないのではないでしょうか。
心理学では、相手と自分の間に心の境界線を作ることを「バウンダリー」と呼びます。
バウンダリーを持つことで、自分を守ることができるだけでなく、良好な人間関係を維持することにもつながります。
相手のペースに飲み込まれないようにするためにも、まずは自分と他人の境界線を自覚しておくことが大切です。
自分と他者に境界線を意識し自分のペースを守る
【思考法②】合う人もいれば合わない人もいる
なんとなくこの人とは合わないな…
そう思うことありませんか?
相性の合わない要因が自分側にあるときもあれば、相手側にあることもあります。
あまりにも色々な人とトラブルを起こすことが多いときには、誰かに相談をして自分を見つめ直してみるのも1つです。
ですが、
この人と合わないのは自分のせいかも…
と感じるときには、
相性が合わない人もいるよね
と割り切ってしまうことも1つです。
自分のせいだと思ってしまうと、常に自分を責める気持ちが生まれてしまい、苦しい感情に包まれてしまいます。
人は
この人魅力的だな
と感じることがあれば、それとは反対に
何となく好きになれないな…
と思うこともあります。
それは、人間として当たり前の感情です。
心理学では
「自分と似た性質を持つ人」
に魅力を感じやすいといわれています。
ここでいう
「自分と似た性質を持つ人」
とは、考えや価値観が似ているだけではなく、
「共通していること」
があるという点も含まれます。
それとは反対に、他者を嫌いになる要因として、
・自分と違う(性格や考え方、価値観など)
・相手への妬み
・相手が傲慢
・相手が自己中心的
・相手の主張が強い
・自分と似ている(嫌なところ、集団での立ち位置など)
・外見・話し方
があげられるという研究結果も出ています(斎藤,2003)。
自分と似た人に魅力を感じやすい一方で、相手の嫌なところや集団での立ち位置が自分と似ていると魅力を感じなくなってしまうという点を見ると、「好き」「嫌い」は時に複雑な要因が絡むことがあるとも考えられますね。
合う人もいれば合わない人もいる
と思いながらまずは自分を一番に考えてあげることが大切です。
相性の良し悪しは自分ではコントロールできない
【会話①】自分の気持ちを抑えず伝える
思ったことがあっても、つい自分の気持ちを抑え込んじゃう…
人間関係を円滑に進めたいからといって、そのような状態が続いてしまうと心身にストレスがかかります。
しかし、伝え方が難しいと感じることも多いのではないでしょうか?
そんな時に役立つのが「アサーション」というコミュニケーション技法です。
アサーション
「自分の言いたいことを表現」+「相手が伝えたいことも大切にし理解」しようとするコミュニケーション
アサーションは攻撃的でもなく、逆に自分を犠牲にすることもない、バランスの取れた伝え方が特徴です。
アサーティブなコミュニケーションを通じて、自分の気持ちや考えを相手に誠実に伝えることが、相互理解が深まり、良好な関係の構築につながります。
具体的にどんな風に伝えたらいいの?
アサーションでは、「私」を主語に自分の気持ちを伝えることが基本となります。
(私)昨日、無視されて悲しかった…
(僕)約束すっぽかされると困っちゃうよ
自分の気持ちや考えを相手に伝えることで、誤解や不満が減少し、ストレスが軽減されます。
「私」を主語に自分の気持ちを適切に表現する
【会話②】断る勇気を持つ~上手な伝え方~
本当は断りたいけど、断る勇気がない
そんな状態も、自分にとってはストレスが溜まる要因になります。
頼まれたことを引き受けることで、時には人付き合いが良好に進むかもしれません。
しかし、自分に負担がかかってしまう状態は好ましくありません。
そんなときにも「アサーション」が役に立ちます。
アサーションの表現技法の中の「DESC法」を使ってみましょう。
DESC法の「DESC」とは、
Describe(描写する)
Express(説明する)
Suggest(提案する)
Consequences(結果を伝える)
の頭文字を表しています。
(他にも様々な訳し方がありますが、今回は上記に絞らせていただきました)
DESC法の詳しい意味については、下記の画像にまとめてあります。
例えば、
友だちに遊びに誘われたけど、気が乗らない場合…
上の画像のようにと伝えてみると、相手に気持ちが伝わりやすくなるかもしれません。
伝える手順が決まっていると、自分の思いをまとめやすくなりますよね。
断り慣れていない場合、DESC法で伝えるのにも時間がかかってしまうかもしれません。
しかし、練習を重ねながら、少しずつでも気持ちを伝えられると、自分も相手も大切にできる関係につながっていくと思います。
最初は大変かもしれませんが、試してみる価値はあります!
DESC法を使って上手に断る
まずは自分を大切に
今回は良好な人間関係を築く4つのコツについてお伝えしました。
相手のことを考えつつ、まずは自分のことを一番大切にしてあげたいものです。
本記事が自分らしく人間関係を築くためのヒントとなれば幸いです。
5.参考文献
・ありふれた人間関係論よりイソップ童話,植西聰(2008),PHP文庫.
・言いにくいことが言えるようになる伝え方 自分も相手も大切にするアサーション,平木典子(2023),ディスカヴァー・トゥエンティワン.
・対人的嫌悪感情に対する社会心理学的研究,斎藤明子(2003)九州大学心理学研究4,187-194.
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