不登校の理由が分からない
データだけ見ても理解できない
不登校について最新の情報が知りたい
不登校の原因に関する調査ついては
【令和4年度不登校の実態】文部科学省の調査を実体験と交えて考察
の中でも少し紹介していますが、データを見ていると他にも多くの要因が存在していることが分かります。
中には現在、学校に行けず悩んでいる方のなかに
どうして学校に行きたくないのか分からない…
と困っている方もいるかもしれません。
今回は、文部科学省の最新のデータを引用しながら、不登校の原因・要因となる事柄について、もと不登校の私が解説していきます。
全体からみた不登校の要因(小学生・中学生)
全国の小学校・中学校・教育委員会を対象に行われている
「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」
では、小学生・中学生の不登校の要因について調査しています。
回答者は当事者だけではなく、学校の先生が回答している場合もあるかも
当事者からの回答じゃない場合、不登校の要因が的確じゃないこともあるよね
「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」は、当事者ではなく、学校を対象とした調査であることに注意
まずは、小学生・中学生の不登校全体からみた不登校の主な要因についてのグラフをみていきます。
引用:令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(文部科学省,2023)
不登校の主な要因として回答率が最も高いのは「無気力・不安」であるという点については、
【令和4年度不登校の実態】文部科学省の調査を実体験と交えて考察
の中でも紹介しています。
「いじめ」と回答している割合が最も低いのは、
いじめだと認知されずにカウントされていない
可能性もあるのかもしれません。
また、2番目に回答率が高かった「生活リズムの乱れ・あそび・非行」については、どのような状況なのか判断が難しいようにも思います。
生活リズムの乱れ・あそび・非行
いろいろな状況がありそう…
こちらの項目について具体的なことは明示されていませんが
・体調不良や無気力が本来の原因で昼夜逆転気味になる可能性
・登校することの不安からゲームなどに依存気味になり生活リズムが乱れる可能性
など、様々な状況が考えられそうです。
かつて私も、学校に行けずに自宅で過ごしていたときは、生活リズムが乱れてしまった時期がありました。
学校が不安で眠れない
⇓
生活リズムが乱れる
⇓
生活リズムが乱れて登校できない
という悪循環になっていたように思います。
「無気力・不安」が不登校の要因となっている児童・生徒が多い
不登校の要因(小学生・中学生別)
次に、小学生。中学生別の不登校の主な要因についてグラフでみていきます。
引用:令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(文部科学省,2023)
小学生・中学生ともに不登校の主な要因として、1位は「無気力・不安」、2位が「生活リズムの乱れ・あそび・非行」ということが分かります。
しかし、3位については、小学生・中学生それぞれで違う結果が出ています。
それぞれ見ていくと、小学生の3位は「親子の関わり方」、中学生の3位は「いじめを除く友人関係の問題」となっていることが分かりますね。
親子の関わり方については、幼稚園・保育園を卒業後、学年が上がるにつれて関わり方に戸惑いを感じる親御さんもいるのかもしれません。
そして、中学生になるにつれて、他者との関わりが増えていくことで「人間関係の問題」が不登校の要因にあがるようになっている可能性が考えられます。
どっちも人との関わりに関係するという点は共通しているね
小学生・中学生ともに、不登校の要因として考えられること1位・2位は「無気力・不安」、「生活リズムの乱れ・あそび・非行」
学校に行きにくくなったきっかけ(小学生・中学生別)
・全体からみた不登校の要因(小学生・中学生)
・不登校の要因(小学生・中学生別)
は学校を対象に調査したデータですが、「不登校児童生徒の実態把握に関する調査報告書」では、当事者に調査を実施しています。
この調査の中には、「学校に行きにくくなったきっかけ」を問う質問があり、小学生・中学生別のデータが掲載されています。
参考:不登校児童生徒の実態把握に関する調査報告書(文部科学省,2021)
小学生の理由別グラフを見ると、1位が「先生のこと」、2位が「身体の不調」、3位が「生活リズムの乱れ」であることが分かります。
3位については、「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」と一致していますが、2位は若干異なる結果となりました。
1位については学校を対象とした調査では上位にあがらなかった点です。
「先生が苦手だから学校行きたくない」なんて、言いにくいよね
最初は先生がきっかけだったけど、今は他に原因があることも考えられるね
2位の「身体の不調」については、本人は身体の不調と感じているけれど、周囲からは
・本人が無気力状態に見える
・精神的な要因が生じているように見える
・生活リズムが乱れているように見える
ということも考えられるかもしれません。
次に、中学生が学校に行きにくくなったきっかけに関するデータを見ていきます。
参考:不登校児童生徒の実態把握に関する調査報告書(文部科学省,2021)
こちらについては、1位は「身体の不調」、2位が「勉強が分からない」、3位が「先生のこと」であるということが分かります。
このデータもさっきの結果と若干違うね
2位の「勉強が分からない」については、中学に進み勉強が難しくなっていくだけでなく、発達の要因が関係してくることもあるかもしれません。
発達特性の有無に関わらず学習のサポートがあると、安心して勉強に取り組むことができるのではないでしょうか。
当事者を対象とした調査では、学校に行きにくくなったきっかけとして、「学校に対する不安」を回答する割合が多い
不登校の要因・きっかけは様々
今回は、文部科学省の最新のデータを引用しながら、不登校の原因・要因となる事柄について、もと不登校の私が解説しました。
【学校を対象とした調査】
・「無気力・不安」が不登校の要因となっている児童・生徒が多い
・小学生・中学生ともに、不登校の要因として考えられること1位・2位は「無気力・不安」、「生活リズムの乱れ・あそび・非行」
【当事者を対象とした調査】
・学校に行きにくくなったきっかけとして、「学校に対する不安」を回答する割合が多い
回答した割合が高いものに着目して解説しましたが、学校に行けない理由は人によって異なります。
回答した割合が低いものにも目を向けることが大切ですね。
この記事が不登校への理解を深めるきっかけとなれば幸いです。
参考文献
・文部科学省(2021)不登校児童生徒の実態把握に関する調査報告書,https://www.mext.go.jp/content/20211006-mxt_jidou02-000018318_03.pdf.
・文部科学省(2023)令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について,https://www.mext.go.jp/content/20231004-mxt_jidou01-100002753_1.pdf
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